はじめに
Steam のゲームをダウンロードする速度が遅い、Epic Games のアップデートがなかなか終わらない、海外サーバーの対戦でラグや接続切れが発生する。このような問題は、ゲーム機やパソコンの性能だけでなく、接続先までの経路、DNS の応答速度、時間帯ごとの回線混雑によって起こることがあります。
Clash を利用すると、ゲーム関連の通信だけを適切なノードへ振り分けたり、国内向けの通信を DIRECT で接続したりできます。すべての通信を無条件にプロキシへ流すのではなく、ダウンロード、ログイン、マッチング、ボイスチャットなどの用途ごとにルールを調整することが重要です。
この記事の目標
Steam・Epic Games の通信を安定させ、ゲームの接続先に合わせて速度とレイテンシを調整できる状態を目指します。
速度低下とラグが起きる主な原因
ゲームで感じる「遅さ」は、常に同じ原因で発生するわけではありません。症状を分けて考えると、Clash の設定を必要以上に複雑にせずに済みます。
- ダウンロード速度の低下: Steam や Epic の配信サーバーまでの経路が混雑している、または ISP 側で時間帯による輻輳が発生している可能性があります。
- 対戦中の高い Ping: ゲームサーバーから遠いノードを経由している、経路が不安定、あるいは Wi-Fi の電波干渉が原因かもしれません。
- ログインや更新の失敗: ランチャーが複数のドメインへ接続しており、一部だけが異なる経路になっている場合があります。
- ボイスチャットの途切れ: UDP に対応していないノードや、混雑した共有ノードを使用していると音声が不安定になります。
まずは Clash を有効にする前後で、ダウンロード速度、Ping、パケットロスを別々に確認してください。速度が上がっても Ping が悪化する場合があるため、ゲーム用途では単純な Mbps の数値だけで判断しないことが大切です。
重要
Clash は物理回線そのものを高速化するツールではありません。混雑した Wi-Fi、低速な契約回線、サーバー側の制限は、設定変更だけでは改善できない場合があります。
1ゲーム向けノードの選び方
ゲーム用ノードは、表示される「倍率」や最大速度よりも、実際の接続先との距離、応答の安定性、UDP 対応の有無を優先して選びます。自動選択グループが用意されていても、ゲームを起動する時間帯に手動で比較すると、より適したノードを見つけやすくなります。
| 用途 | 優先する条件 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| Steam・Epic のダウンロード | 帯域幅、接続の安定性、配信サーバーまでの経路 | 短時間で速度が大きく変動するノード |
| 海外ゲームの対戦 | ゲームサーバーに近い地域、低 Ping、低パケットロス | 遠距離の高速ノードや経路が頻繁に変わるノード |
| ボイスチャット | UDP 対応、安定した上り速度 | TCP のみ対応するノードや過度に混雑したノード |
たとえば日本からアジア圏のゲームサーバーへ接続する場合、近隣地域のノードが有利とは限りません。日本からゲームサーバーまでの経路が良好な地域を選び、ゲーム内のネットワーク統計で Ping とパケットロスを確認してください。接続先が国内である場合は、プロキシを経由せず DIRECT にしたほうが低遅延になることもあります。
2Clash Verge Rev で実際に設定する
ここでは Mihomo コアを利用できる Clash Verge Rev を例に、ゲーム通信を分流する基本手順を紹介します。画面の名称はクライアントのバージョンによって多少異なりますが、考え方は Clash for Windows や Mihomo 系クライアントでも共通しています。
- Clash Verge Rev を起動し、信頼できるプロバイダーのサブスクリプションを Profiles から追加します。
- プロファイルを更新し、ノード一覧に利用可能なゲーム向け地域が表示されることを確認します。
- Proxies で、速度と Ping が安定しているノードを選択します。
- まずは System Proxy を有効にし、Steam と Epic Games のログイン、ストア表示、更新を確認します。
- ランチャーやゲーム本体がシステムプロキシを利用しない場合は、管理者権限を確認したうえで TUN Mode を有効にします。
設定を一度に変更せず、次の順番でテストすると原因を切り分けやすくなります。
- Clash をオフにして Steam のダウンロード速度とゲーム内 Ping を記録します。
- Clash をオンにし、同じノードで再測定します。
- 別の地域のノードへ切り替え、速度ではなく Ping と安定性を比較します。
- 最後に TUN Mode を有効にし、ゲーム本体の通信がルールどおり処理されているか確認します。
3Steam・Epic Games の分流ルール
ゲーム関連のドメインをすべて同じノードに固定するのではなく、まずランチャーのログインやストア通信を対象にします。配信サーバーは地域や CDN によって変わるため、ルールを追加しても速度が必ず向上するとは限りません。
Mihomo のルールプロバイダーや Merge 設定を利用できる場合は、次のような専用グループを作成します。グループ名は自分の設定に合わせて変更してください。
ルール設定のポイント
実際のプロファイルに存在するプロキシグループ名と、設定内の Game を一致させてください。存在しないグループ名を指定すると、通信が正しく処理されません。
国内サービスや普段使うサイトまでゲーム用ノードへ流すと、ページ表示が遅くなったり、動画サービスの地域判定に影響したりします。ゲーム関連だけを Game に割り当て、その他は既存のルールや DIRECT に任せる構成が扱いやすいでしょう。
4TUN モードと DNS を調整する
Steam や Epic Games のランチャーはシステムプロキシに対応していても、ゲーム本体やアンチチート、ボイスチャットは別の通信方式を使うことがあります。システムプロキシだけで通信が分流されない場合は、Mihomo の TUN モードを試してください。
- TUN Mode: システム全体の IP 通信を仮想インターフェースで受け取り、プロキシルールを適用します。
- Auto Route: OS の経路設定を自動化します。ほかの VPN と同時に使うと競合する場合があります。
- Strict Route: DNS や未対応アプリの通信を意図せず直接接続しにくくしますが、互換性を確認しながら使用します。
DNS は、名前解決の遅延や誤った地域の CDN 選択に影響します。Mihomo で DNS を有効にする場合は、利用中のプロファイルが指定する設定を優先し、複数の DNS を無計画に追加しないでください。fake-ip は多くのアプリで便利ですが、一部のゲーム、アンチチート、LAN 機能では相性問題が出ることがあります。
TUN モードの注意点
オンラインゲームのアンチチートやローカル対戦が動作しなくなった場合は、TUN Mode を一度オフにして原因を確認してください。必要に応じてゲームや LAN 用ドメインを DIRECT に戻します。
5症状別の確認ポイント
設定後に問題が残る場合は、ノードを頻繁に切り替える前に、どの通信だけが失敗しているかを確認します。Steam のダウンロードだけが遅いなら CDN や配信地域の影響が考えられ、対戦中の Ping だけが高いならゲームサーバーとの距離や UDP 経路を確認します。
- Steam の速度が遅い: ダウンロード地域を変更し、Clash のノードを別の地域と比較します。速度制限が設定されていないかも確認してください。
- Epic の更新が止まる: Epic Games Launcher を終了し、ルール更新後に再起動します。認証用ドメインが別経路になっていないか確認します。
- ゲームにログインできない: ゲームサーバー、認証、アップデート配信のドメインが異なる可能性があります。ログの接続先を確認し、必要なドメインだけを同じグループへ追加します。
- Ping は低いのに操作が重い: パケットロス、ジッター、フレームレート、Wi-Fi 干渉も確認します。Ping の平均値だけでは判断できません。
最終的には「最も速いノード」ではなく、「プレイ中に数値が安定するノード」を選ぶのが基本です。ゲームを終了した後は、国内のウェブサイトや動画サービスが必要以上にプロキシへ流れていないかも確認し、Clash のログと接続履歴を整理しておきましょう。
Clash と Mihomo の設定は、利用するゲーム、地域、回線、プロバイダーによって最適解が変わります。小さな変更ごとに結果を記録し、ルール、ノード、TUN、DNS の順番で調整すれば、原因不明の切断を減らしながら自分のプレイ環境に合った構成を作れます。