はじめに
現代のインターネット環境において、PC だけでなくスマートフォン、タブレット、さらにはゲーム機やスマート家電など、複数のデバイスを同時に利用することは当たり前となっています。しかし、すべてのデバイスに個別にプロキシソフトをインストールし、設定を管理するのは非常に手間がかかります。
Clash Verge Rev の強力な機能の一つである「Allow LAN(LAN内共有)」を使用すれば、メインの PC をプロキシゲートウェイとして動作させ、同じ Wi-Fi(ローカルネットワーク)に接続している他のデバイスからそのプロキシを共有することができます。これにより、プロキシソフトがインストールできないデバイスや、設定が面倒なスマホでも簡単に高速なネットワーク環境を享受できます。
この記事で解決できること
PC の Clash 設定をスマホや Nintendo Switch、他の PC と共有し、ネットワーク全体を最適化する方法をマスターできます。
事前準備
設定を始める前に、以下の条件を満たしているか確認してください。これらが整っていないと、設定を進めても接続できない場合があります。
- 同一ネットワーク: プロキシを提供する PC(ホスト)と、利用するスマホ(クライアント)が同じルーター(SSID)に接続されていること。
- 安定した接続: Wi-Fi の信号が安定していること。接続が不安定だとプロキシ経由の通信が頻繁に途切れます。
- Clash Verge Rev の正常動作: ホストとなる PC で Clash が既に正常に動作し、インターネットにプロキシ経由でアクセスできていること。
1Allow LAN の有効化
まずはホストとなる PC の Clash Verge Rev 側で、外部からの接続を許可する設定を行います。
- Clash Verge Rev を開き、左側のメニューから「Settings」を選択します。
- 「Clash Fields」または「General」セクションにある「Allow LAN」という項目のスイッチをオンにします。
- そのすぐ下にある「HTTP Port」(デフォルトは 7890)と「SOCKS5 Port」(デフォルトは 7891)を確認します。通常はデフォルトのままで問題ありません。
ポート番号の重要性
このポート番号は後でスマホ側に入力するため、メモしておいてください。混雑を避けるために 8888 などに変更することも可能です。
2ホストの IP アドレス確認
スマホが PC を見つけるためには、PC のローカル IP アドレスを知る必要があります。
- キーボードの
Win + Rを押し、cmdと入力してエンターを押します。 - コマンドプロンプトが開いたら、
ipconfigと入力してエンターを押します。 - 「IPv4 アドレス」という項目を探します。通常は
192.168.x.xのような形式です。
- 「システム設定」>「ネットワーク」を開きます。
- 接続中の Wi-Fi または Ethernet を選択し、「詳細」をクリックします。
- 「TCP/IP」タブに表示されている IP アドレスを確認します。
3ファイアウォールの設定
多くの場合、ここでつまずきます。Windows や macOS のファイアウォールが外部(スマホ)からの通信をブロックしてしまうため、Clash の通信を許可する必要があります。
重要
スマホから接続できない原因の 90% はファイアウォールです。一時的にファイアウォールをオフにしてテストするか、以下の手順でポートを解放してください。
Windows ファイアウォールでの許可
- 「コントロールパネル」>「システムとセキュリティ」>「Windows Defender ファイアウォール」を開きます。
- 「Windows Defender ファイアウォールを介したアプリまたは機能を許可」をクリックします。
- 「設定の変更」をクリックし、リストから
clash-verge.exeまたはclash-meta.exeを探し、「プライベート」と「パブリック」の両方にチェックを入れます。 - リストにない場合は、「別のアプリの許可」からインストール先の
.exeファイルを手動で追加してください。
4スマホ・他デバイスの設定
最後に、プロキシを利用したいデバイス(クライアント)側で設定を行います。ここでは iPhone と Android を例に説明します。
- 「設定」>「Wi-Fi」を開き、接続中の Wi-Fi の右側にある「i」アイコンをタップします。
- 一番下までスクロールし、「プロキシを構成」をタップします。
- 「手動」を選択します。
- サーバ: 手順2で確認した PC の IP アドレス(例:192.168.1.15)を入力します。
- ポート: 手順1で確認した HTTP ポート(例:7890)を入力します。
- 「保存」をタップします。
- 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「Wi-Fi」を開きます。
- 接続中の Wi-Fi 名を長押しするか、設定アイコンをタップします。
- 「修正」または「詳細設定」から「プロキシ」を「手動」に変更します。
- プロキシのホスト名: PC の IP アドレスを入力します。
- プロキシポート: 7890 などのポート番号を入力します。
- 「保存」をタップします。
よくある質問とトラブル解決
設定したのにスマホでネットが繋がらない場合は、以下のチェックリストを確認してください。
1. PC 側で Allow LAN が本当にオンになっていますか?
Clash Verge Rev の再起動が必要な場合があります。設定を変更した後は一度アプリを完全に終了させてから再起動してください。
2. IP アドレスが間違っていませんか?
ローカル IP アドレスは PC の再起動やルーターの割り当て変更によって変わることがあります。再度 ipconfig で確認してください。可能であれば、ルーターの設定で PC の IP を固定することを推奨します。
3. ウイルス対策ソフトの干渉
ESET、Norton、カスペルスキーなどのサードパーティ製セキュリティソフトを使用している場合、独自のファイアウォール機能が通信を遮断していることがあります。一時的に保護を無効にして、接続できるか試してください。
4. 公共 Wi-Fi での利用
カフェやホテルの Wi-Fi では、セキュリティ上の理由からデバイス間の通信(AP アイソレーション)が禁止されていることが多く、この機能は利用できません。自宅のルーター環境で試してください。
まとめと推奨事項
Clash Verge Rev の LAN 共有機能は、家庭内のネットワーク体験を一段上のレベルへ引き上げます。一度設定してしまえば、スマホで動画を見る際も、ゲーム機で海外サーバーに接続する際も、PC の強力なルールエンジンをそのまま利用できます。
他のプロキシツール(旧来の Shadowsocks クライアントなど)と比較して、Clash が優れている点は以下の通りです:
- 中央集権的な管理: PC 1台の設定を更新するだけで、接続している全デバイスに反映されます。
- インテリジェントな分流: スマホ側で何もしなくても、国内通信は直接、海外通信はプロキシといった自動判別が可能です。
- 高い互換性: 標準的な HTTP/SOCKS5 プロキシプロトコルを使用するため、ほぼすべてのネットワーク機器に対応しています。
まだ Clash Verge Rev を導入していない方は、この機会にぜひ最新版をダウンロードして、その快適さを体感してください。