はじめに
現代の家庭では、スマートフォン、PC、タブレットだけでなく、スマートTV、ゲーム機(Switch/PS5)、IoTデバイスなど、ネットワークに接続されるデバイスが爆発的に増加しています。それぞれのデバイスで個別にプロキシ設定を行うのは非常に手間がかかり、また、プロキシ設定をサポートしていないデバイスも少なくありません。
Clash の強力なネットワーク転送機能を活用すれば、一台のメインPCやルーターで動作する Clash を「共有センター」として機能させ、家中のデバイスに最適化されたネットワークを提供することが可能です。本ガイドでは、初心者でも実践できる「LAN共有」から、上級者向けの「透明プロキシ(ゲートウェイ)」設定まで、2026年最新の最適化手法を詳しく解説します。
この記事で解決できること
・プロキシ非対応デバイス(PS5/Switch等)の加速
・家中のデバイスの通信を自動で「国内」と「海外」に分流
・ネットワーク全体の遅延(レイテンシ)の削減
1LAN共有の基本設定
最も手軽な方法は、PCで実行している Clash のプロキシポートを同じ Wi-Fi 内の他のデバイスに開放することです。
ステップ1:Clash 側での設定
まず、Clash クライアント(Clash Verge Rev など)で「LAN共有(Allow LAN)」を有効にする必要があります。
- Clash Verge の「Settings」または「Config」を開きます。
- Allow LAN をオンにします。
- Mixed Port(通常は 7890)を確認します。
- PCのローカルIPアドレス(例:192.168.1.10)をメモします。
IPアドレスの確認方法
Windowsなら ipconfig、Macなら ifconfig またはシステム設定のネットワーク詳細から確認できます。
ステップ2:子デバイス側の設定
スマートフォンや他のPC側で、Wi-Fi設定の「プロキシ」を手動に変更し、先ほどメモしたIPアドレスとポートを入力します。
これにより、スマートフォンの通信がPCの Clash を経由するようになり、PC側で設定した分流ルールがそのまま適用されます。
2TUNモードの活用
通常の HTTP/SOCKS プロキシでは、ブラウザ以外のアプリケーションや一部のゲームの通信をキャッチできないことがあります。これを解決するのが TUN モード です。
TUN モードは、システムレベルで仮想ネットワークカードを作成し、すべての IP パケットを Clash に流し込みます。これにより、プロキシ設定を無視するソフトウェアでも強制的に分流が可能になります。
管理者権限が必要
TUN モードを有効にするには、Clash を「管理者として実行」する必要があります。また、Service Mode のインストールが推奨されます。
TUNモード設定のポイント (YAML)
複数デバイスで共有する場合、メインPCで TUN モードを有効にしておくと、LAN経由で接続してきたデバイスの UDP 通信(オンラインゲームやビデオ会議に重要)も安定して処理できるようになります。
3透明プロキシ(ゲートウェイ)化
「すべてのデバイスに手動で設定を入れるのは面倒」という場合、Clash を実行しているデバイスをネットワークの デフォルトゲートウェイ に設定します。
この構成では、デバイス側は「普通に Wi-Fi に繋いでいるだけ」のつもりでも、ルーターが通信を Clash デバイスに転送し、そこで自動的に分流が行われます。
具体的な構築手順
- 静的IPの割り当て: Clash を動かすPCのIPアドレスを固定します。
- IPフォワーディングの有効化: OSレベルでパケット転送を許可します。
- ルーターのDHCP設定変更: ルーターの管理画面で、DHCPサーバーが配布する「ゲートウェイ」と「DNS」を Clash PC のIPアドレスに変更します。
サーバーとして Raspberry Pi などを使う場合、以下のコマンドで転送を有効にします。
この設定が完了すると、テレビやゲーム機、ゲストのスマホに至るまで、家中すべてのデバイスが Clash の恩恵(広告ブロックや海外サービスの高速化)を自動的に受けることができます。
4ネットワークの最適化
複数デバイスで共有すると、トラフィック量が増加するため、パフォーマンスの最適化が不可欠です。
DNS 最適化
ホームネットワーク全体で Clash を使う場合、DNS の応答速度が体感速度を左右します。fake-ip モードを使用することで、名前解決の待ち時間を最小化できます。
ルールの最適化
複数デバイスがある場合、特定のデバイス(例:Apple TV)だけを特定のノード(例:米国)に固定したい場合があります。Clash の SRC-IP-CIDR ルールを使えば、送信元IPアドレスに基づいて個別にルートを指定できます。
まとめと推奨構成
Clash を複数デバイスで共有することで、個別の管理から解放され、よりスマートなホームネットワークが実現します。従来の VPN ルーターと比較して、Clash は「ドメイン単位」で非常に細かい分流ができるため、日本の動画配信サービス(TVerやABEMA)を使いながら、海外の技術サイトを高速に閲覧するといった使い分けが完璧にこなせます。
2026年の推奨ステップ:
- ライトユーザー: Clash Verge Rev の「Allow LAN」を使い、必要な時だけスマホを設定する。
- ゲーマー: メインPCで TUN モードを有効にし、LAN共有経由で Switch/PS5 を接続する。
- パワーユーザー: Raspberry Pi や OpenWrt ルーターに Clash (Mihomo コア) を導入し、家全体のゲートウェイにする。
Clash の柔軟な設定を活かし、あなたの家庭に最適なネットワーク環境を構築しましょう。まだ最新のクライアントをお持ちでない方は、以下のリンクから各プラットフォームに対応した Clash を入手できます。