はじめに
Coursera や edX で講義を受けていると、動画の読み込みが止まる、教材ページだけ開きにくい、ログイン後に画面が切り替わらない、といった問題が起きることがあります。原因はサービス側の混雑だけとは限らず、利用中のネットワークや DNS、接続先までの経路が影響している場合もあります。
Clash のルールモードを使えば、オンライン講座に関係する通信だけを選んだプロキシグループへ送り、普段使う国内サイトは DIRECT(直接接続)のままにできます。全通信をプロキシに通す設定と比べて、不要な経路変更を減らし、普段のブラウジングへの影響も抑えやすくなります。
この記事では、Coursera・edX の通信を分ける考え方、ルールを追加する手順、設定後の確認方法を順番に説明します。Clash Verge Rev、Mihomo など、ルール形式に対応したクライアントを想定しています。画面の名称はバージョンやクライアントによって異なるため、必要に応じて読み替えてください。
この記事の目標
講座関連のドメインを特定のプロキシグループへ振り分け、国内サイトは直接接続に保つ構成を作ります。接続先を確認しながら調整する方法も押さえます。
1講座サイトだけ分流する理由
Clash は、通信先のドメインや IP アドレスなどをルールと照合し、指定されたプロキシグループや接続方法へ振り分けます。ルールモードでは、サイトごとに経路を選べるため、講座サイトだけ別の経路を利用したい場合に便利です。
- 講座サイト:Coursera や edX のページ、ログイン、教材など、設定した対象をプロキシグループへ送ります。
- 国内サイト:講座用ルールに一致しない通信は、既存の設定に従って直接接続または別グループへ送ります。
- その他の海外サイト:講座サイトと同じ扱いにせず、普段使っているルールを維持できます。
ただし、オンライン講座の画面が複数のドメインや CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を利用することがあります。メインページのドメインだけを追加しても、動画や画像の配信先がルールに一致せず、再生できないケースがあります。反対に、広すぎるキーワードルールを設定すると、講座と関係のないサイトまでプロキシ経由になることがあります。
設定の基本方針
まずはサービスの主要ドメインだけを追加し、実際に利用したときの接続ログを見て不足分を補います。大まかなキーワード指定や、根拠のない大量のドメイン追加は避けましょう。
2プロキシグループを確認する
ルールの末尾に書く宛先は、プロファイル内に存在するプロキシグループ名と一致していなければなりません。たとえば、グループが Proxy ならルールでも Proxy を指定します。設定例の名前をそのまま貼り付けるのではなく、自分のプロファイルにある実際の名前を確認してください。
Clash Verge Rev などのクライアントでは、プロキシ一覧や「Proxies」画面でグループを確認し、使用するノードを選択できます。講義動画を長時間再生する場合は、速度だけでなく、接続の安定性や切断の少なさも重視しましょう。自動選択グループを利用する場合は、対象ノードが正常に遅延測定されているかも確認します。
- グループ名:設定ファイルの
proxy-groupsに登録されている名称を確認します。大文字・小文字や記号も含めて一致させます。 - 選択中のノード:講座サイトへ実際に接続できるノードを選びます。場所だけで決めず、まずブラウザーでログインや動画再生を試します。
- フォールバック:プロキシが切断された場合にどう動くかを把握します。必要に応じてグループを手動で切り替え、再接続を確認します。
ノードやグループの具体名は利用中のサブスクリプションによって異なります。以下のルール例では、既存のグループ名を Proxy と仮定しています。
3Coursera・edX のルールを追加する
次の例は、サービスの主要ドメインを既存の Proxy グループへ送るためのルールです。ルール形式は Mihomo で広く使われる書式ですが、利用中のコアや設定管理方法によって編集箇所が異なります。
DOMAIN-SUFFIX は、指定したドメインとそのサブドメインに一致するルールです。たとえば coursera.org を指定すると、www.coursera.org のようなサブドメインも対象になります。末尾の Proxy はグループ名なので、実際の名前に置き換えてください。また、最後の MATCH はプロファイルに元からある最終ルールを表す例です。YourFinalGroup をそのまま使わず、既存の設定を残してください。
ルールの順序に注意
Clash は上から順にルールを評価します。講座サイト用ルールは、該当ドメインを先に処理してしまう広いルールや、最終ルールの MATCH より上に置きます。既存プロファイルを直接編集すると更新時に上書きされる場合があるため、クライアントのルール上書き機能や管理方法を確認してください。
ドメインはサービスの仕様や配信経路により変わる可能性があります。この一覧をすべての講義に対する完全な保証として扱わず、ページ表示、ログイン、教材のダウンロード、動画再生をそれぞれ試して不足する接続先がないか確認してください。
4設定を反映して動作を確認する
ルールを書き換えたら、設定の構文エラーがないかを確認してから反映します。操作名はクライアントによって異なりますが、プロファイルを保存または更新し、設定の検証を行い、必要に応じてコアを再起動するのが基本です。編集前のプロファイルをバックアップしておくと、問題が起きたときに元へ戻せます。
- Clash クライアントでルールモードを選び、編集したプロファイルを有効にします。グローバルモードでは、個別ルールによる分流を確認できない場合があります。
- プロキシグループの選択画面を開き、ルールに指定したグループで利用可能なノードを選びます。
- 接続ログまたは「Connections」画面を表示した状態で Coursera にアクセスし、ログイン、講座ページ、教材などを順番に開きます。
- 各接続先のルール欄や接続先グループを確認し、講座関連の通信が指定グループへ送られているかを見ます。
- edX でも同じ確認を行い、動画を数分再生して読み込みが継続するか、再生位置を移動しても復帰するかを試します。
- 国内サイトを開き、意図せず講座用グループへ送られていないことを確認します。
ログに想定外のドメインが見つかった場合は、その接続が講座のページ表示や動画配信に関係していることを確認してから、必要なドメインだけを追加します。
ログの表示名や詳細度はクライアントによって異なります。接続先が IP アドレスだけで表示される場合は、DNS 設定やログに記録されるホスト名を確認してください。通信の所属先を判断できないまま、広い範囲の IP をルールに追加するのは避けましょう。
5よくある問題と調整方法
ルールを追加しても改善しない場合は、ルールの有無だけでなく、対象の通信がどの経路を通ったかを切り分けます。症状が似ていても、DNS、プロキシノード、ブラウザーの状態など原因は異なるため、一度に複数の設定を変更せず、変更ごとに動作を確認しましょう。
- サイト自体が開かない:クライアントがルールモードで動作しているか、設定が有効か、指定したグループ名が存在するかを確認します。次に接続ログで対象ドメインとルール判定を見ます。
- ログイン画面だけ進まない:認証に関係する別ドメインが使われている可能性があります。ブラウザーの開発者ツールや Clash の接続ログで実際の接続先を調べ、必要な場合だけドメインルールを追加します。
- 動画が再生されない、途中で止まる:動画配信先が別の CDN である可能性や、ノードの回線が不安定な可能性があります。ログで再生中に増える接続を見て、別の対応ノードでも比較します。
- 国内サイトまで遅くなった:広すぎるキーワードルール、ルール順、最終ルールの設定を見直します。講座と関係のない通信まで対象になっていないか確認してください。
- 設定後に一部のアプリだけ失敗する:そのアプリがシステムプロキシを使うのか、TUN モードなどのシステム全体の通信処理が必要なのかを確認します。必要性が分からないまま TUN や DNS の設定を一括変更しないでください。
サービス側のアカウント制限や一時的な障害、講義データの配信状態は、Clash のルールだけでは解決できません。別のブラウザーや通常のネットワークでも同じ問題が起きるかを比較し、サービスのステータス情報も確認すると、原因を絞りやすくなります。
安全に運用するために
プロキシは信頼できるサービスを利用し、Coursera・edX の利用条件と、お住まいの地域の法令に従ってください。ログには閲覧先のドメインが表示されることがあるため、共有や保存の際は個人情報にも注意しましょう。
6運用前の最終チェック
講座サイト向けの分流では、対象ドメインを正しく選ぶことと、ルールの順序を守ることが重要です。最初からすべての関連先を推測して追加するより、主要ドメインから始め、利用中のログを根拠に不足を補うほうが、国内通信への影響を抑えながら設定できます。
- Clash がルールモードになっている。
- ルールの宛先に指定したプロキシグループが実際に存在する。
- Coursera・edX のルールが、該当通信を先に処理するルールと
MATCHより上にある。 - ログでページ表示、ログイン、教材、動画の接続経路を確認した。
- 国内サイトが意図せず講座用グループへ送られていない。
クライアントやコアの更新後は、プロファイルの構文や上書き方法が変わっていないかも確認してください。安定した状態を確認できたら、使用したルールと変更日をメモしておくと、問題が発生した際に差分を戻しやすくなります。
まずは少数のドメインルールから始め、講義の実際の利用状況に合わせて調整しましょう。Clash の分流を適切に設定すれば、講座の通信経路を個別に管理しながら、普段の国内サイト利用はこれまでの設定に保つことができます。